『伝えたい詩』POEM

2024年3月27日(水)
笑い声の消えた街

遠くからかすかに太鼓の音が聞こえてくる
窓を開けると少し大きくなった太鼓の音を心地よい風が運んでくる
空を見上げると入道雲がゆっくりとこちらへ近づいてくる
街角には笑い声のない笑顔が溢れている日常
自然に笑い声を出してごらん
ほらっ,なかなか難しいものだ
ラジオをつけるとパーソナリティの笑い声が聞こえてくる
笑い声は出るものではなく
出すものなのかとふっと思う
遠くからかすかに子どものはしゃぎ声が聞こえてくる
大人になると出さないものかとはっとする
ねぇ,子ども
笑ってないのに笑っている

2022年6月21日(火)
蝉と風鈴のおとずれ

遠くから蝉の声が聞こえてくる
草いきれのにおいがあたりに漂う中を
風が吹き抜けてゆく
どこか懐かしい風鈴の音が近くで聞こえる
子どもが楽しそうに戯れている声が風に乗ってやってくる
扇風機に顔を近づける
モーター音がリズミカルに聞こえてくる
口いっぱいにかき氷をかき込んで身体を冷やす
シャリシャリシャリ
夜になれば,線香花火の弾ける音に耳をすませる
この梅雨が明けたらば
そういう季節のおとずれだ
さて,今年の初蝉はいつ頃だろうか

2022年4月4日(月)
雨はゆく

足下を流れてゆく
私を振り返る事なく,さらさらと流れてゆく
濡れてゆく
さきに見ていた一粒の雨のしずくはもう見えない
いつまでも止まぬ雨とびしょ濡れになり水を吸えなくなった服
雨はどこまでも,どこまでもするすると流れてゆく
川にさっと目をやる
一本の木がどんどん流されてゆく
流されてゆく木のなんと無力な事か
よそよそしくもそろそろと流れてゆく
木はもう見えない
そのくらいの時間が経った
私ももうゆかなくては